「事業承継経験者だけが知っている
M&Aの真実」
190年続く老舗会社11代目当主が語る事業承継
事業承継経験者の売手の話・買手の話
第3章 売主の話
事業承継は表面上のやり取りだけではなく、売主が抱える問題や課題に目を向けて解決していく必要があります。売主・買主ともに目的や目標は異なり、片方の意見だけを優先させると事業承継は失敗に終わります。事業を譲渡するということは、人と人との信頼関係で成り立ち進んでいくので、売主・買主それぞれの本音について理解を深めておくことが必要です。
事業承継をおこなう売主には、次のような問題や課題があります。
3.1.後継者がいない
後継者不足による倒産件数は、2020年から3年連続で右肩上がりで、2022年は422件と深刻な状況です。(東京商工リサーチ)後継者がいないことで、事業の継続ができないケースがあります。後継者がいないことは、後を継ぐ人材、もしくは人材がいても適任者がいない2つのケースが挙げられます。そのどちらの場合も売主としては、事業を安心して任せられる人材を求めており、後継者問題は事業承継の最も主たる要因といえます。そしてその解決のための手段として事業承継が選択肢となるのです。
第三章 売主の話 / 3.2.人手不足で人材が集まらないに続く・・・